
ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質
- ナシーム・ニコラス・タレブ
- 望月 衛訳
ダイヤモンド社
読了。twitterで再読を勧められて、読んだのは2回目である。
「まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」の著者であり、最近新刊の情報をtwitterで流しているタレブ。
彼の本が読みづらいのは事実で、訳が悪いと指摘する声もあるが、私はそうは思わない。
1. 内容が簡単ではない、3. 本書の書き方がちょっと独特、この3点によって訳が難しいのは事実なのだが、内容が難解な割に訳はうまいと思う。
そのため、ちゃんと読めるかは読者自身の力にかかっている。
私の場合慣れていない言葉が多かったから、混乱しがちになる。
けれどどうにか踏ん張って読まないといけない。
また、内容が簡単ではないので、何度か読むことを勧める。
私も理解したとは思っていない。
偶然とは何なのか。
なぜ起きるのか。
どうやったら偶然とうまく付き合えるか。
そのようなことが書いてある本書。
先日、新聞を読んだら勝間さんが新聞の資産運用のコーナーに「無料の昼食はない、どれだけ自分でリスクヘッジできるかを考えたものを」というようなことを書いていた。
確かにその通りなのだが、偶然は常に予測の外からやってくる。
誰が9・11の前に飛行機がニューヨークのビルに突っ込むなんて想像できただろうか。
弾けると言われていたサブプライムローンの問題、誰がいつあのタイミングで起こると予測できただろうか。
これまでの事実の積み重ねでは、偶然を予測することはできないのである。
資産運用において勝間さんの言ったようなことはよく聞かれるのだろうが、「偶然」に対処することは難しい。
そのことを予測するにはベル型カーブ(日本人には馴染みが薄いこの言葉、正規分布なんかをイメージしてもらえると良い)は使えない。
黒い白鳥はいるか?
白鳥は白いものじゃない?だいたい黒い白鳥なんて見たことないし。
でも、いる、のだ。
1. 普通に起こらない
2. とても大きな衝撃がある
3. 事後には予測可能だったことにされる
という3つの特徴を持つものとしてブラック・スワン(黒い白鳥)という言葉は用いられる。
先日タレブの訳をしたが、インターネットのおかげで、分布がベル型カーブに従わず、べき乗則に従う果ての国は、身長分布のようにベル型カーブに従う月並みの国をガンガン侵食してきており、ブラック・スワンが出てくる可能性がますます高まっているとタレブは言う。
果ての国においては、努力をしたからと言って必ず成功するわけではなく、運の果たす役割も大きい。
生涯ずっと本を書いたからといって、それが必ずしも売れるわけではない。
才能という話もあろうが、売れている小説の持つ特徴を具えているけれども売れない小説というのは実際に存在するわけで、そこには運という偶然も関係している。
ただ、気をつけておきたいのは本書が努力の積み重ねを否定するものではないことだ。
私は初めて読んだ時に「結局運なんじゃないか」という結論に勝手に達してしまったが、そんなことはない。
1冊目からベストセラーになる作家もいれば、30冊目でようやくベストセラーになる作家もいるのだ。それに気を付けておきたい。
「ブラック・スワンがなぜ出現するか」という問いに対して、タレブは認識の過程で犯す誤りを挙げている。
a) 追認の誤り
b) 講釈の誤り
c) 私たちが推論を行うときに情緒が入り込む問題
d) 物言わぬ証拠の問題
詳しくは本書を見ていただきたい。
客観的に見ることに使えると思ったが、ちょっと使ってみて結局「それが全てじゃないよ」という結論に至ってしまうことばかりだったので、人間の認識はこういう傾向にある、という感じで片隅に置いておくくらいでいいかと。
ブラック・スワンを否定すると酷い結果を見るので、どのように存在を認めて、それとどう付き合っていくか、そこが問題。
それのヒントが書いてあるのが本書ブラック・スワン。
疑え、と本書で言われているが、疑いだしたら、もうどうにも止まらない。
どのように問いを立てるか、なんてことも大切。
ブラック・スワンは必読に入る本だと思う。
内容については全然書ききれていない。
さて、ようやく本書を理解しようとしているところで、まだこれをどのように考えに活かしていくかを考えられていない。
私は分析よりも、新しいものを創っていきたい。
【2010/05/08、不適切な部分を変更】
日本美術の歴史
日本美術の歴史、3月25日読了。
室町から江戸にかけての日本絵画史が専門という辻氏による、日本美術の全体の流れとその輪郭を”皿回しの曲芸に似た至難のわざ”としながらも一人で書いた本。
1冊で美術ほぼ全ての分野に亘る日本美術の歴史が垣間見られて良かった。
ところで「美術」とはいったい何か?
この問いからこの本は始まる。
あなたならどう答えるか。
「美術」とは、明治のはじめ、西洋のfine artを日本語に訳してできたものであり、それ以前からあった概念ではない。それに類する言葉としてartに対する「技芸」があげられる程度だろうか。絵画と書は「書画」として一緒になっていた。彫刻という言葉もそれ以前にはなかった。工芸は絵画ともども「工」の概念の中に収まっていた。建築、庭園も明治の新造語である。
「美術」は、その他もろもろの文化・学術の用語とともに西洋生れの概念にほかならない。だが「日本美術」と言った場合、その中味は国産品である。江戸時代までの国産の「もの」のなかかから、明治の為政者が何と何を「美術」に選んだかの問題がそこに生じる。「書」のように、「美術」や否やの論争がかつてあり今もなお決着を見ない分野もある。
という。「美術」が何の訳語で、何を指すのかこれまで全然知らなかったので驚きだ。
1万5千年に及ぶ日本の歴史の、たった142年間しか通用しない西洋由来の概念。
それだけに何を書くと選ぶか、そしてそれらに対してどのように解説をつけ、感想を述べるのか、また人の言を引いてくるのか、そのようなことは筆者辻氏の判断による。
あとがきにもあるように、あくまでも「辻流日本美術史」である。
当然ながら、日本美術1万5千年の歴史をたった3.2cm、480ページの厚みに収めているわけだから本書の中で触れられるものの写真が全て本書に載っているわけではなく、見たかったらインターネットで検索をかけねばならぬものも大変に多い。
当然ながら、美術史を辿っていく上で日本史も関わってくる。
山川の日本史、までいく必要はなく中学卒業程度で十分なのだが、最低限知っていないと美術を読みとくには辛いものがある。
というのも美術史を少しでも知る上で、当時の国内、国際情勢を知ることはとても大切だからである。
仏像の変遷を知りたいというのが読み始めたきっかけの一つだが、それは100%ではないにせよ裏切られた。
やはり仏教という東アジア全体に広がる宗教の像を知る上で周辺国の美術もかじらねばならぬようで、宋風の仏像と言われてもわけがわからぬ。
そのため、特定の分野を知りたいと思ったら「日本美術の歴史」は読むべきではなく、別の本を探すべきだろう。
また、西洋美術史に例をとるとすると「印象派は細く小さな筆勢によって絵具本来の質感を生かした描写技法を用い、風のそよぎ、水面による光の反射、など一瞬一瞬の風景を切り取っている」などといったような、「狩野派は◇◇という特徴を持つ」という辞書的な定義、プラトン化されたイメージを求める人には向いていない。
プラトン化されたものを求めていた私の期待はここでも裏切られた。
ん?美術ってプラトン性の境界外にあるものがほとんどなんじゃないのって?
ま、そうなんだけどいいじゃない。
という理由から、私には本書はあまり合わなかった。
・日本美術の歴史を知るはじめの1冊として読みたい
・何時代の何を描いた何派はどのような特徴を持つ、といったようなプラトン化された解説が欲しい
・写真の載っていないものを羅列されるのは仕方ないが、少ない方がいい
という私みたいな人には、こちらは辻氏が監修を務める
カラー版 日本美術史をおすすめしたい。
しかしながら、縄文土器に始まり、仏像、絵、建築、日本画、洋画、はてはアニメ、現代美術まで1冊でカバーされているのは圧巻の一言である。
日本美術の歴史を知る、全体像を「チラ見」でいいから見たい、という人にとって初歩としては悪くないと思う。
先日、太宰府に行った。
普段は国道3号線沿いに南下→県道574号線で北上、帰宅というルートをとるんだが、先日は変更して県道112号線沿いを取った。
で、道沿いで見かけたのが板付遺跡。ふらっと寄ってみた。
板付遺跡は縄文晩期~弥生後期の遺跡で、稲作が日本で最も早く行われた場所の一つ。
御笠川から水路を引いてきて稲を育て、居住域の周りにはその水路で濠を作った。
世界最古でありながら、表面につけられた力強い紋、強烈な独創性を放つ縄文土器。
渡来人によりもたらされた、シンプルながら機能的で、洗練された弥生土器。
ロココ調からApple社の製品に一気に鞍替したような、そんなイメージを持ってしまう、縄文~弥生の土器の移り変わり。
→
縄文土器は深鉢が主であるのに対し、弥生土器は壺を最も多く用い、龜、鉢、高坏がこれに続く。
そして弥生土器は口辺、頚、胴、底の部分よりなり、板付遺跡より出土した夜臼式を含め、遠賀川式として西日本、九州に広く普及した。
こんな事前知識があって、素直に感動した。
そして、資料館には昔の人が着ていた貫頭衣を実際に植物より繊維を取るところから再現したものが展示してあって、それも見られてよかった。
服を作ることは予想していたより遥かに大変だ、そして昔の人はこんな寒いものを着ていたんだな、とびっくり。
資料館は無料。
途中までしか読んでいないが、「日本美術の歴史」、1冊と分量が少なく、写真が比較的多く読みやすいので、日本の美術史を学ぶ上でオススメ。
一度これを読むと、土器、磁器、陶器それぞれの特徴、仏像の歴史だとかが分かって大変にいい。
ところで美術史って美術の授業でちゃんと教えた方がいいと思う。
わざわざ美術展見に来ている人が、例えば印象派はなぜ「印象派」と呼ばれているかなど知らなかったりするのはちょっと興ざめ。
「Fine Artとは何か」を定義できるわけでもないので教えづらい部分は大きかろうが。
最後に参考までに板付遺跡に関するサイトを紹介。
・弥生のムラ 板付遺跡を歩く http://itazuke-iseki.kmtk4.net/index.html
・筑紫・板付遺跡(音声注意) http://inoues.net/ruins/itazuke.html

京都国立近代美術館にて開催予定。詳細は下記。
会期
平成22年3月24日(水)~5月5日(水・祝)
休館日
毎週月曜日 ※ただし5月3日(月・祝)は開館
開館時間
通常の開館時間
午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
金曜日の夜間開館日
午前9時30分~午後8時(入館は午後7時30分まで)
主催
京都国立近代美術館
観覧料
当日 団体(20名以上)
一 般 850 600
大学生 450 250
高校生以下 無料 無料
※本展には前売券はありません。
※4月4日(日)は「美術館へ行こう~A Day in the Museum~」全館無料観覧日です。
京都国立近代美術館、遊び心が素晴らしいww
公式サイトはこちら
ジェネレータはこちらを使用。
デュシャンとエルンストが展示されるので時間と行く気力があれば行きたい。
「マンキュー 入門経済学」2010年3月12日読了。
経済の入門書として例と図が多く大変にわかりやすいのでオススメの1冊。
各ページの下の部分に脚注のような形で用語の定義と英語ではどう言うかというのが書いてあって、それも私のような入門者にとって大変にいい。
また、各章毎に練習問題が載っていて、復習、そして定着に役に立つ。
twitter上でリフレだとかマイナス金利だとか出てきていて、池田信夫さんなどのblogをちょいちょい見ている。読んでてふぅむ?と思うところがあって、ちょっとは経済学をかじっておきたかった。
ミクロ経済学、マクロ経済学、そのあたりは最低限知識としてあったほうが良いと思ったのだ。
ネット見てたら、経済学学ぶならマンキューかクルーグマンじゃないの?という感じだったのだが調べてみるとミクロマクロそれぞれ単行本2冊あったので無理と判断し、1冊で読めるマンキューの「入門経済学」を選んだ。
第1部 イントロダクション
経済学の十大原理
経済学者らしく考える
相互依存と交易(貿易)からの利益
第2部 ミクロ経済学
市場における需要と供給の作用
需要、供給、および政府の政策
消費者、生産者、市場の効率性
外部性
第3部 マクロ経済学
国民所得の測定
生計費の測定
生産と成長
貯蓄、投資と金融システム
総需要と総供給
わかりやすい構成。
・交易は必ず双方に利益をもたらす、またそれはなぜか
・GDPってどうやって算出する?
・そもそも実質GDPだとか名目GDPとは何であるのか?
・GDPデフレーターとは? そして消費者物価指数とそれとの違いは?
・価格弾力性がない、とは需要-供給曲線において、どのようなことを指すのか
・弾力的/非弾力的な需要/供給下において、税金はどのように割り振られるか
・最近言われている日本国債デフォルト→インフレのシナリオはなぜ描けるのか(これは各人想像して)
・外部性とは何か
・貨幣の流通速度はどうなのか?
など、言葉の定義から色々とわかりやすく書いてあります。
マンキューの経済学の十大原理
については、こちらのpdfがわかりやすかったのでオススメ。
ただ、私の中で経済学のイメージとして論理をこじつけたもの、というのが未だに拭えず、どうにかすると反証できるのではないかと思ってしまう。(やってないけれど多分できる)
マンキュー自体「経済変動は不規則で予測不可能であるという事実がある」と言い切っているわけだし。
それでも経済学を学ぶのは、「やってはいけない」政策が少しは分かるようになるためなのだろうと本書を読んで感じた。
でも、基本的に経済学って後付けの理論であって、基本的にはオナニーでしかない、という考えは変わってないな。
「アンドロメダ病原体」読了。マイクル・クライトン著、早川SF文庫
病原体が広まっていくという生物兵器系のSFサスペンス。
この病原体は人工衛星が持ち運んできたもの。生物兵器ではない。
それが広まっていって…という話なのだけれど、人間がどのように反応するか、どのようにして突き止めるか、結局どうなるかということを描いた話。
結局は人間の判断ミスが大きな比重を占める。
臨場感のある書き方がしてあって、ワクワクする。
原書が1969年というのは驚きである。
ワトソンとクリックによるDNA二重螺旋の発見(1953)からそう経っていない時期に、放射線による生物の変化というものを書いたという点で。
生物兵器だとか細菌・ウイルスあたりのSFは好きで読むのだけれど、読んだ中では4番手かな。1~3位は下記。
1.復活の日 (小松左京)
2.シャングリラ病原体(フリーマントル)上巻・下巻
3.コブラの眼(リチャード・プレストン)上巻・下巻
以前書いたコーネル・メソッド・ノート、先日INCUBEにてB5罫線を無事購入しました。
ツインリング、綴じ、などカラーバリエーション含め何種類かあります。
リングノートはリングを潰してしまう嫌な思いでしか無いので、綴じノートを購入。
罫線、無地、方眼の3種類があります。
罫線は6mm幅=B罫しかないようなので、ご注意。
A, B, C罫どれが好きかと問われるとB罫なので、そこは気に入っている。
というわけで使ってみての感想。
用途は試験前に覚えこむための書き物。
残念ながら書かないと試験で文章が書けない私。
ひとまず、下図のA,B,CのB:キーワードエリアをテーマにして、A:ノートエリアに内容、Cは参考文献(ソース元)、を書くことに。

単語帳みたいな出来上がりになりました笑
大変に使い勝手がいいです。
頭の整理もはかどる感じがします(あくまで感じ)。
良いだけに、完璧を目指すには、もうちょっとスリムなサイズで出たらいいな、と思う。
というのも、書いていて視野に右側が入らないなー、これは使いづらいスペースだな、と感じるので。ノートエリアだけ減らす感じで。
スリムB5(=幅が約A6)だとコーネル・メソッド・ノートだとメインの書き込むスペースがガツンと削られそうなので、9割くらいにしたサイズがあったらいいかな、と思う。